CDH/ACE
物理ベースとデータ駆動型モデリングを融合した革新的CAE支援フレームワーク
CDH/ACE は、物理ベースのモデリングとデータ駆動型モデリングの強みを融合させた、強力で使いやすく、高度に自動化されたフレームワークです。
設計最適化を通じてCAEシミュレーションの精度と効率を飛躍的に高め、手作業の負担を大幅に軽減するとともに、複雑なシステムに対する深い洞察をより迅速に得ることができます。
CDH/ACE(ACE = Autonomous Computational Experiments)は、従来のCAEが持つ高い精度、データアナリティクスのスピードおよびスケーラビリティを融合した画期的なフレームワークです。ACEを通じて複雑なCAEワークフローと機械学習およびAI分野の概念を組み合わせ、自己学習・自己修正を行うプロセスによって動作します。現在は主にNVHの課題に特化していますが、その基本原理はさまざまな工学分野に幅広く応用可能です。
利点 :
時間とコストの削減
プロセス全体を効率化し、手動でのセットアップに比べて処理時間を大幅に短縮します。また、物理モデルのみに依存する場合と比べて、応答予測を劇的に高速化できます。
効率の向上
シミュレーション結果を最適化し、手作業を最小限に抑えながら、より優れたソリューションを短時間で導き出すことが可能です。
設計空間探索の拡張
幅広い設計案を自動的に探索できます
ユーザーフレンドリーなアプローチ
より直感的なアプローチの提供により、数値シミュレーションに関する専門的な知識がなくても、高度なCAEを活用することが可能です。
異なる二つのモデリング手法の強みを戦略的に組み合わせ、それぞれの課題を軽減します。
直接的物理モデリング(NastranやCDH/OPTRAN等のFEMソルバーを使用)
利点 :
- 基礎的な物理メカニズムの解明において他に類を見ない性能を発揮
- 問題の根本原因特定に大きく寄与
- システム挙動に関する深い洞察が得られる
課題 :
- モデル構築に高度な工学的専門知識が必要
- 計算コストが高く、1回のシミュレーションに数時間を要する場合がある
- 膨大な情報リソースを必要とする
データ駆動型モデリング (最新の機械学習(ML)・AI技術を活用)
利点 :
- ミリ秒レベルでの高速予測が可能
- 多数の入力パラメータの変動にも柔軟に対応
- リアルタイムアプリケーションに適している
- 明確な物理法則が存在しない複雑なシステムの挙動も予測可能
課題 :
- 学習には信頼性の高い大量の入出力データが必要
- 未知の条件への汎化能力には限界がある可能性がある
CDH/ACEは、物理シミュレーションの実行を自動化し、パラメータの変更も効率的に行うと同時に、得られたシミュレーション結果をもとにデータ駆動型モデルを学習させることで、迅速な予測を実現します。
Nastran、CDH/OPTRAN、OptiStructなどのFEMソルバーとのインターフェースは自動化されており、さらに、反復的な学習サイクルの過程で、各種の結果プロットやその他の有用な結果ファイルが自動生成されます。
自己学習サイクル(バッチ)における応答履歴と収束状況 :
10,000サンプルを対象とした最適化応答とそのロバスト性のパーセンタイル値
高度なCAEプロセス
複雑な解析フローを容易に運用できるように管理されており、ユーザー固有の機能を組み込むためのプラグイン機構にも対応しています。
自動化された実験計画(DOE)
実験計画を自動で体系化し、システム性能に対する各種設計変数の影響を効率的に探索します。
パラメータ最適化および同定
物理システムの応答に影響を与える主要なパラメータを特定し、最適な値を高精度で算出します。
感度解析およびロバスト性評価
パラメータ変動に対するシステムの感度を詳細に解析し、高速な機械学習モデルを活用してシステム全体のロバスト性を評価します。
モデル縮約
機械学習アルゴリズムを用いて、リアルタイムで予測可能な簡易モデルを生成します。
Python統合および自動化
柔軟性の高いPythonベースのオープンプラットフォームを提供し、カスタムツールの統合およびワークフローの自動化を可能にします。
性能最適化
シミュレーションおよびソルバーの設定を最適化し、最大限の効率を実現します。
主な特長
• 機械学習アルゴリズムとロバストなCAEソルバーとのシームレスな統合
• CAEシミュレーションデータを自動生成する自律型ソフトウェア
• 反復サイクルによる継続的な自己学習と自己修正により、時間とともに精度が向上
• 振動および音響解析に特化した高効率な解析性能
• Nastran、CDH/OPTRAN、OptiStructなどのFEMソルバーとの連携を完全に自動化するインターフェースを搭載
• 最小限の手動操作で使用可能なユーザーフレンドリーな設計
• 最大64コアのCPU構成に対応した複数のCAEサーバー・計算ノードにおける高いスケーラビリティ
• 既存のCAEキューイングシステムとの統合により、効率的なジョブ管理が可能
• 関連データおよびポストプロセッシングの可視化を自動生成
• オープンソースのPythonベースアーキテクチャで、柔軟にカスタマイズ可能
• CDH/OPTRAN、CDH/AMLS、CDH/FastFRSと組み合わせることで最適化やロバスト性解析に理想的なソリューションを実現

現在、CDH/ACE は、騒音や振動に関する解析に特化しており、以下のFEMソルバーとの連携により使用可能です。:
- MSC Nastran 2019 以降
- Simcenter Nastran 2020 以降
- Altair OptiStruct 2019 以降
- CDH/OPTRAN v5.3 以降
大規模シミュレーションにおける効率性と安定性の観点から、上記のFEMソルバーとあわせて CDH/AMLS および CDH/FastFRSを使用することを強く推奨します。
- CDH/ACEは、主要な64bit版オペレーティングシステム(RedHat 8以降を推奨)を正式にサポートしています。
- 推奨されるハードウェア構成は、Intel XeonまたはAMD EPYCベースのCPU (ARMアーキテクチャは現在未対応)で、8コア以上のCPUおよびECC対応の256GB以上のメモリです。
- 適切なGPUを使うことで、機械学習の学習速度の向上が見込めます。